詰将棋が強くする
昨日の記事「感想戦が強くする」を書いてから気づいたことがある。実は、将棋チャンピョンが最も重要視していた練習は、詰将棋だったのだ*1。
http://d.hatena.ne.jp/nijiku/20090131/1233413592
詰将棋は、基本的に退屈である。じっと、問題文と向き合う。ああでもない、こうでもないと考える。中級者以上になってくると、盤に並べるわけでもないので頭の中で駒を動かす*2分からないとすっきりしない。実戦で指していた方がよっぽど「楽しい」。
しかし、プロ棋士は詰将棋を重要視している場合がよく見られる。たとえば、羽生善治氏は「詰将棋」の本を持ち歩いているという*3。サラリーマンから将棋棋士になられた瀬川昌司氏の『後手という生き方』にもこういう記述がある。
後手という生き方―「先手」にはない夢を実現する力 (角川oneテーマ21)
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詰め将棋を一問解いたことによって、どのくらい自分の力がつくかというと、それはほとんどあるかないかのプラスにしかばらないだろう。けれども小さいことの一つ一つを投げださないでやっていくことが、結局はプロとしての本当の実力を積み上げていくことになる。(略)
他の勉強についても同じことが言える。棋譜を並べるというのも基本的なトレーニングの一つだが、これもただ並べているだけだと「指の運動」に終わってしまう可能性もある。苦しくとも、他人が指した一手一手の意味を考えながら「脳味噌に汗をかいて」並べることで、同じ一局を並べるにしてもその効果はまったく違ってくる。
突然「いい企画」を考えろ、といわれても何も浮かばないのは当然である。日頃からニュース・新聞・雑誌から世の中のトレンドを読み、顧客のニーズは何か?という「詰将棋」を解いているからこそ、企画書をつくるという実戦の場で優秀な作品が出来上がるのだろう。「私のすることにとっての<詰将棋>は一体何なのか」と問うことは上達のきっかけになりうる。
*1:わざわざ感想戦の話を取り上げたのは、ただ闇雲に量をこなせば強くなる、というわけではないことを示唆するためである。「実践、実践」だけでは上達しないということだ。
*2:例えばこんな問題である:http://blog.livedoor.jp/tobio1952/
*3:NHK:http://www.nhk.or.jp/professional/tool/080226/index.html