感想戦が強くする

将棋を指していた頃がある。半年ほど集中して取り組んだ*1
 「どうしたら将棋が強くなるのか?」当時、たまたまクラスにいた将棋の県チャンピョンに聞いたことがあった。彼曰く、「上達のコツは、実戦と感想戦詰将棋」という(重要度は、実戦<感想戦詰将棋らしい)
 実戦とは、文字通り試合をすることである。インターネットのおかげで基本的にいつでもできるようになった。感想戦とは、試合のあとにその試合の一手一手を対戦相手(時には観戦者も含めて)と検討することをいう。「ここまでは定跡通りだね」「この時、この手をさされたらどうしようかと思った」「あの筋は読めなかった」等など<反省的対話>をする。そうやってフィードバックを繰り返すことで徐々に強くなる、という理屈である*2
 感想戦に似たこととして、記録をつけることが挙げられる。セルティックで活躍中の中村俊輔選手は毎日サッカーノートと呼ばれる記録をつけ続けているそうである*3。プロゴルファーの片山晋呉選手も同様のノートをつけているということだ*4
 では、どうして「振り返る」ことが上達につながるのだろうか?ひとつの仮説としては、自分の行為を修正する役割を担いうるから、といえよう。これはやってはいけない。これをやるとうまくいく。そうやって試行錯誤を繰り返す中で、正解に辿りつく、というわけだ。言葉で<意識>することが重要なのだろう。何も考えずに、うまくいったとしても再現が難しいからだ。
 過去を振り返って「しまった。俺はなんて馬鹿なんだ」と振り返ることは「ネガティブ思考」ととられ忌避されがちである。後悔先に立たず、という言葉もある。しかし「うまくいった人」を観察していると、反省することが強さの原動力となっている場合がまま見られる。過去のネガティブさと向き合える人は、ポジティブな未来を得ることができる、とでもいえようか。

*1:ちなみに「はてな」取締役の梅田望夫氏も将棋ファンだそうである

*2:将棋上達論 http://www.shogitown.com/book/consi/04progress.html

*3:察知力:http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32077507

*4:http://www.club45.net/pro04.php